はかる生活(2)

2.血糖

 病院受診時にも血糖を測定しますが、血糖自己測定を家で行うこともできます。血糖自己測定をする場合、インスリン注射をしている方は保険適応となりますが、それ以外の方は自己負担となります。
 血糖の目標の値は以下のとおりです。


合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満とする。対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dLをおおよその目安とする。


3.尿糖

 家で行える最も簡単な検査は、尿糖測定です。測定用のテープを尿に浸けて反応した色の度合いで(ー)(1+)(2+)(3+)(4+)などと判定します。個人差がありますが、血糖が180mg/dlを超えると尿糖が(1+)以上になります。
尿糖の自己測定は、血糖自己測定をしていない方では血糖コントロール状態の把握のよい目安になります。
血糖自己測定と比べてテープの値段が安い、採血を必要としない利点があります。

4.血圧

 糖尿病の方は40~60%に高血圧があるといわれ、糖尿病でない方の約2倍です。高血圧を放置すると動脈硬化がすすみ、脳梗塞、心筋梗塞などの合併症がおこりやすくなるばかりでなく、糖尿病の合併症である糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症の進行をはやめます。
 血圧は正常の値になるよう心掛けましょう。糖尿病の人の正常血圧は以下のとおりです。



5.体重


 目標体重の目安となるものに標準体重があります。しかし標準体重は目安の体重であり、必ずこの体重にしないといけないというものではありません。
 肥満でなかった人は18〜20歳の時体重が標準体重の目安です。その時期の体重は背が伸び終わり筋肉量が多く無駄な脂肪が最も少ないからです。
 自分のペースで減量し自分にあった体重をさがしましょう。

これらをはかった結果をみて生活の振り返りを行うことが大切です。
結果は記録し経過がわかるようにしましょう。

印刷用のPDFはこちら

ファイルを開く

前のページ糖尿病最初のページ次のページ

はかる生活(1)

健康で合併症のない生活を送るために、以下に述べるはかる生活を実践しましょう。

1.HbA1c(エーワンシー、ヘモグロビンエーワンシー)

 病院受診時には、HbA1cを測定します。HbA1cとは、1〜2ヶ月の血糖の平均をあらわしたものです。
 「ヘモグロビンエーワンシー」という言葉は長いので最近アメリカなどでは単に「エーワンシー」と呼ぶようになってきました。
 家ではかることはできませんので、原則として月1回の受診を定期的に行うようにしましょう。


血糖正常化を
目指す際の目標
合併症予防
のための目標
治療強化が
困難な場合の目標
HbA1c(%)6.0未満7.0未満8.0未満

合併症を起こさぬ知恵

 体熱に例えると39度を超えたら大変、早く平熱に!
 HbA1cも、6.5%以内に

印刷用のPDFはこちら

ファイルを開く

前のページ糖尿病最初のページ次のページ

病気の時の対策(2)

1型糖尿病の方へ

 1型糖尿病の方は、インスリンと水分を適切に補充してケトアシドーシスを予防する必要があります。
 ケトアシドーシスとは著しい血糖の上昇とケトン体の増加により血液が酸性に傾くことです。
 なお、自分だけで対処できない場合は必ず主治医に電話で相談をするか、直接診察を受けてください。

1.水分を十分に補給する

 食欲がなくても少しずつでも水分を補給しましょう。
 食事ができるときは、コンソメスープや味噌汁などでこまめに水分を補給します。
 食事ができないときにはポカリスエットなどの糖分がはいったものを飲みます。

2.血糖をはかりインスリン注射を追加する

 著しい高血糖になるのを予防するために少なくとも4時間ごとに血糖をはかり、その値でインスリン注射の追加を行います。
 一般に次の表のように追加します。

 4時間毎の血糖値で速効型または超速効型インスリン(透明なインスリン)を追加します。
(持効型インスリン・ランタス注も透明ですので間違えないようにしてください)。

血糖値尿ケトン追加インスリン
250mg/dl以下な し
250〜400mg/dl速効型または超速効型インスリン 1日の総量の1/10
250〜400mg/dl速効型または超速効型インスリン 1日の総量の1/5
400ml/dl以上速効型または超速効型インスリン 1日の総量の1/5

 病気になったときは血糖が上がりやすいのでインスリン注射はやめてはいけません。
 食事ができない場合も通常どおりのインスリン注射が必要です。

印刷用のPDFはこちら

ファイルを開く

前のページ糖尿病最初のページ次のページ

病気の時の対策(1)

糖尿病の人が病気になったときはいくつか注意することがあります。

1.まず、風邪などの治療をする

病気なったときはまず受診し、適切な治療をうけましょう。

2.水分を十分にとる

 かぜなどの病気の時は熱が出たり、血糖を上げるホルモンがでるので血糖値は上昇します。
 このため、たくさんの尿がでて、体の水分が少なくなり脱水症状になりやすくなります。また熱のため汗をかくとさらに水分が少なくなります。
 自分で思っているよりも体の水分は少なくなりやすくなっています。以下のようにして水分を補給しましょう。

(1) 30分〜1時間ごとにコップ1杯弱は飲みましょう。

水分は塩分の入っているもの、例えばコンソメスープや味噌汁、ポカリスエットなどがよいでしょう。

(2) 通常の食事ができる状態の時は糖分の入っていないものを飲みます。

3.薬について

(1) 内服薬の人

病気の程度により変わりますので主治医と相談してください。

(2)食事ができる状態のとき

通常通りで構いません。食事ができないときは主治医と相談してください。

印刷用のPDFはこちら

ファイルを開く

前のページ糖尿病最初のページ次のページ

低血糖(2)

3.低血糖の対処

 低血糖の症状がみられたら、砂糖かブドウ糖を20gまたはそれに相当するジュースを摂取します。
 15分が経過しても症状が治まらない場合は、さらに同じ量を摂取します。
 また食事まで1時間以上時間がある時は、表1(糖質を多く含むもの)を1〜2単位(ごはん50〜100g、食パン6枚切り1/2〜1枚、マリービスケット3〜6枚)摂取します。




糖尿病カードは常に携帯しておきましょう。

印刷用のPDFはこちら

ファイルを開く

前のページ糖尿病最初のページ次のページ